「ちょっとぉ、遅くない?」彼女は立ち読みしていた本を置き、不満げにそう言った。しかし、大遅刻をしたのにはそれなりの理由があった。そもそも待ち合わせ場所は、彼女がバイトをしている古着屋に近い駅北口。しかし、ほんの5分ほど遅れただけで、彼女は「近くでヒマ潰してます」というメールだけを送って、その場を立ち去ってしまっていた。そのため、こちらは駅前の道を右に折れ、一番街商店街へ。仲通り、栄通り、本通りの3つのメインストリートと迷路のように入り組んだ路地からなる商店街を彼女が立ち寄りそうな店を探して歩き回ったあげく、踏切を渡り、南口に出て、下北沢のシンボルビルのひとつである本田劇場近くの本屋でようやく彼女を見つけたというわけだ。「ふ~ん、そうなんだ。それより、今日、服買うんでしょ? 早くお店に行こうよ」こちらの苦労を気に留める様子もなく、彼女はクリクリの大きな瞳にボクを映しながら、小悪魔のようにカワイイ笑顔を浮かべた。「うーん、久しぶりだけど、やっぱりおいしい!」駅から南口商店街を代沢三差路に向けてまっすぐ。商店街の街並みが少しさびしくなったあたりに、彼女が子どものころからなじみにしているという広島風お好み焼きはあった。彼女がアルバイトをしている古着屋で夏物の服を見立ててもらうことが今日のデートの目的。しかし、彼女のシフトまではまだ時間があった。彼女が大きなエビが3つものったお好み焼きをたいらげた後、茶沢通りでタクシーをひろって三軒茶屋へ。三軒茶屋駅から少し離れたビジネスホテルに入り、彼女を抱きしめる。乳首を吸うと、彼女は普段の物怖じしない物言いがウソのような、消え入りそうなあえぎ声をあげた。そんな反応がもっと見たくなり、ボクは彼女のシフトぎりぎりまで責め続けた。
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